お金に困らない生活がしたい、毎日会社に行くのが苦痛・・・。こんな風に思っている方は決して少なくはないはず。もれなく私もその一人なのだが、願わくばなるべく若いうちに早期リタイアを達成したいと考えている。39歳の今となっては、健康寿命としてはすでに折り返し地点に来ている。旅行に行ったり、おいしいグルメを堪能するのも体力と気力が無ければ楽しめない。定年を過ぎてからでは遅いかもしれないし、そもそもあと20年以上も働き続けるなんて考えただけでもしんどい。
FIRE(ファイナンシャルインデペンデンスリタイアアーリー=経済的自由を得て早期退職する)
FIREという考え方に出会ってから、今後の長すぎる労働人生に嫌気が差していた自分に光が見えた気がした。しかし現実はそう甘くない。家計を見直し、浪費を改め貯蓄と投資を始めてみたものの、FIREできるだけの資産形成の道のりはやはり厳しい。若くて定年まで余裕のある方なら時間を味方につけることができるが、私のような40歳手前になってから始めると焦りが出てくる。今回はFIRE達成に向けて頑張っているけれど、なかなか上手くいかなかったり挫折しそうな気持ちになっている人に向けて(自分自身)FIRO(経済的に自立してリタイアを選択できる状態)という考え方について書いていく。
そもそもFIREは無理ゲー!?
①FI達成するのに必要な金額をアーリーに用意するのが無理!?
一般的にFIREするためには、年間生活費の25倍を資産形成する必要があると言われている。例えば年間生活費が300万円だとすると必要な資産は7500万円となる。この7500万円を投資に回して年利4%で運用すれば、年間の運用利益が7500万円×4%=300万円となり、資産を目減りさせることなく生活費を確保できることになる。年利4%での運用は、優良なインデックス投資であれば現実的な数字。まずは元手となる資産を作ればいいのだが、年間生活費300万円分の不労所得を得るには7500万円必要になる。
毎月15万円を積み立てても達成までは25年で64歳になっている・・・。定年後は安泰だが、もう一つの願望「早期リタイア」が全然叶っていない。もし50歳での早期リタイアを望むなら、毎月40万円もの金額を投資に回さなければならない。2馬力とはいえ、子ども2人の4人家族でこの額を捻出するのは完全に非現実的である。そもそも子ども2人が独立して、夫婦2人での生活だとしても年間300万円ではとても余裕のある生活とは言えない。願わくば400万円、と言うことは1億円の資産を準備しなければならないことになる。
日本の準富裕層以上の割合
5000万円以上1億円未満の資産を保有している世帯を準富裕層と言う。日本人世帯の資産額を階層別に見ていくと、全5413.4世帯のうち準富裕層以上は473.9世帯と約8.75%になる。
9%近くが準富裕層以上だなんて、クラスの中で2~3人も小金持ち以上がいたのか?と不思議に思うが、もちろんそうではない。下図のように、年齢を重ねるほど世帯資産額は大きくなっており、定年を迎えて退職金をGETした世代が大きな資産を保有している割合が高いため、準富裕層以上は60歳以上が多い。現役世代で準富裕層以上になることは非常に厳しい道のりなのがわかる。
資産形成
資産形成をするための式は単純。収入から支出を引いた金額を投資に回して得た金額が資産になる。
資産=(①収入ー②支出)×③投資利回り
早期に資産形成をするには①収入を増やすか、②支出を減らすか、③投資利回りを大きくするしかないが、月に何十万円も積立投資を行うには①~③のどれかをバグらせる必要がある。極端に収入を増やすには事業を起こす・副業で当てるなどが必要。もちろん容易ではない。支出を抑えるのも限界がある。個別株・FX・アクティブ投資などで利回りを大きくしようとすれば、もはやギャンブルでしかない。
②完全リタイアに耐えられる人の方が稀!?
書籍やネットでFIRE達成した方々のお話を聞けるのは非常にありがたい。「経済的自由」なんて言葉と考え方すら持ち合わせていなかった私としては、とんでもない発明のように思えた。でも実際メディアに登場する方を見ると
「リタイア言うてるけど働いてますやん」
と思ってしまう。本を書いたり、youtubeチャンネルを運営したり。働かなくてもいいだけの資産をお持ちでも、自分のやりたいことをしていることで結果として収入を得ていることが多い。中には全く働いていない人もいるのだろうが、「人間は社会的動物である」とアリストテレスが言ったように、社会との繋がりが無ければ大抵の人は生きていけないようだ。人付き合いが苦手な私は、経済的自由を手にしたとしても家族以外の人間と遊んだりしたいとは全く思わないが、それでもアルバイトやボランティアなど、何らかの活動をすることで社会の一員として役に立ちたいとは思う。(絶対ヒマに耐えられないしボケそうだから)
FIROと言う考え方との出会い
最近Spotifyで聴いている「鼻つぶれパグ男」さんの音声配信でFIRO(ファイロ)と言う考え方を知った。FIRまでは従来と同じで、最後のOがOptional(選択の、自由意志の、任意の)だそう。つまり経済的に自立して、リタイヤするかどうかは選択できる状態になること。いつ仕事を辞めてもいいので、どうしようもなく嫌になった時はいつでも辞表を叩きつけることができる無敵状態になれるらしい。
「だからその、いつ辞めてもいいほど経済的に自立するのが無理ゲーってさっき言ってたやんけ!」
と思われたかもしれない。私もそう思う。しかし、この考え方を知ったことで視野が広がったというか視点を変えてFIREについて考えられるようになった。以前に経済的自由のある生活を書いたときに、様々な種類のFIREがある事を学んだが、今回FIREコレクションに新たにFIROが加わったことで
「もう何でもあり」感が強まった。
早期リタイア=仕事をせずに暮らす
これにこだわり過ぎて、経済的自由な状態のハードルを上げ過ぎたせいか、高すぎる壁に心がくじけそうになっていた。あれっ?そもそも何でそんなに仕事をしたくないんだっけ?
今の暮らしの豊かさ
現代の日本に生まれたことは幸運だと思う。安くておいしいものがいつでも手に入る。医療設備も充実しているし、何より他国に比べて圧倒的に治安がいい。普通に会社員をやっていれば生活するのには困らないし、工夫次第でちょっとした贅沢も可能だ。極論、働かなくても生活保護を受けることができるので、「働かないと○んでしまう」と言った状況を回避することが約束されている。
野生の生き物や、昔の人々の生活では「働かずに生きていく」ことはできなかった。みんな自分が生き残るのに必死だからね。他を構う余裕なんてありません。
令和の時代に会社員をしている自分は、ある意味もうすでにサイドFIREくらいは達成しているようなものだ。生き延びるだけなら約束されていて、豊かに生活したいために会社員をサイドでやっているような物だと考えることができる。
リタイアについて考えて気づいたこと
人によって経済的自由の程度差はあるが、お金に困らない人生を作り上げていくことは大切だ。というよりお金に振り回されない人生を歩むことが大切。では早期リタイアはどうなのだろうか?
すでにFIRE達成しているのに完全リタイヤしていない方々を見て分かるように、みんな好きで本を書いたりメディアに出たり仕事をしている。好きだからやめる理由はない。
早期リタイアに憧れている自分は、ただ単に今の仕事をしたくないだけ。リタイアしたとしても、ヒマに耐えられなくて「好きな仕事をしよう」と考えているのなら
今からその好きな仕事をすればいい。
ただまあ、いろいろ考えることはあるよね。。。今の生活もあるから年収を下げるなんて嫌だし、初期投資の大きい事業を起こすのも怖い。だからと言って現実逃避のために、今の仕事から逃れるためだけにFIREを夢見るのはちょっとズレてると気づくことができた。
「完全FI資産を作る→早期リタイアする→好きなことをする」
これらをひとつずつ順番にクリアしていくのではなく、あらゆる方向から多角的に攻めて行く。今の仕事をしながら少しずつでも資産を蓄え、好きなことを仕事にする活動も同時多発的に展開していけば未来はきっといい方向に進んでいくはず。
まとめ
若くしてFIREできるだけの資産を形成するのは非常に困難な道のり。頑張って貯蓄・投資をしても、経済的に自由になれるのは定年間近になるかもしれない。
「結局自由にはなれないのか。。。今の仕事をずっと続けるのか。。。」と軽く絶望してしまう。
それでも今できる事をコツコツと続けていくことで、未来を変えるきっかけを作ることができる。様々なFIREの種類、特にFIROを知ったことで視野が広がった。資産形成をしながら、リタイヤできる状態になっても続けたいくらい楽しい仕事・やりたいことを探す。
嫌なことから逃れるためにFIREを目指すのではなく楽しい人生にするために、今後も倹約・貯蓄・投資を継続していく。
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